会員コラム「私の宝」のご案内
本会発行の広報誌「宅建NEWS」にて連載中の会員投稿コラム「私の宝」。
毎号、会員の方が個人的に暖めてきた大切なことや、思い入れのあるエピソード、大好きな趣味や人生観を気ままに語っていただくコーナーです。
綾瀬川で大物狙い
埼玉東支部
とまと産業有限会社
代表取締役 木村 高明 さん
カヌーを通じて環境活動
私は埼玉東支部の会員であるとともに、草加市環境推進協議会に出向し、市内各環境団体と情報交換をおこなっている。また、綾瀬川の左岸公園前でカヌーを楽しむ市民団体「草加パドラーズ」に別途在籍している。
国内河川の多くが絶壁護岸である為に、川の公園に来て川に近づけない子供達にとって、「落水」と「死亡」は同義語ともなりうる。『船とか水に強い大物=次世代を担う子供』の育成に、平成28年夏に親子カヌー教室も開催した。
誰がゴミを除去すべきか?
鯉が水しぶきを上げて跳ねる綾瀬川と松原遊歩道の松並木の風景は美しく絵になる。丸い石を並べた江戸時代の護岸も味わい深く、川蟹が数多く遊んでいる。芭蕉像が建つ草加松原が、国指定名勝になったのも納得。和船(わせん)で綾瀬川と松並木を紹介する会も出来た。
一方で、綾瀬川は日本一汚い川かもしれない。水辺再生には、「水質浄化」、「ゴミの除去」、「ゴミの供給を断つ」等が考えられる。
「水質」については、専門の水質検査をするまでも なく、排水している個人・企業等の各々が、よりきれいな水を流してくれれば、その分だけで効果が大きい。
「ゴミの除去」については、そもそも川ゴミは誰が除去すべきだろうか?
役所の問題意識が薄く、具体的手段・船も無い。ゴミは現存・視認されているのに、“見猿(みざる)”の姿勢で、受皿なしの放任状態である。
虫捕網、ゴミ袋、ロープ等を買い、自分のカヌーを出し除去に到る。川を流れて来る大物の冷蔵庫やテレビ、縁(へり)にある自転車、ビンや缶、中身入り大小ゴミ袋などを引き上げる。平成28年1~9月までの9ヶ月間に、45Lゴミ袋にして393袋分を草加パドラーズが川面から回収した。浮遊ゴミを除去するだけで、水質が良くなったと錯覚する面もある。多数のカヌーが、日時と分担場所を決めて一斉に浮遊ゴミを取れば、一日で県内河川の浮遊ゴミが無くなる。
人々の良心がゴミをなくす
ゴミの供給を断つには、人々の良心に訴えたい。ゴミを川に落とすと、それが陸に舞い上がる事は基本的に無い。
善悪という人間の持つ二面性のうち、「悪い」「怖い」という闇の部分だけを「鬼」と表現するなら、流れ来るゴミは、姿を現したその圧力の仕業にも観える。
鬼が殺し合いをし、難民が生み出されている世界にあって、陽だまりの下、川岸で松ぼっくりと無心に戯れる蟹達の姿に、善悪は無く、鬼もいない。
「大物=鬼」退治。光は闇を消し去る。 護美(ゴミ)を、ただ忌み嫌うだけではなく、善の化身として、慈しみの目で観てみたい。
綾瀬川の水質がより良くなり、護美(ゴミ)が無くなり、かつて取れたという蜆(しじみ)が居て、鮎が泳ぐ清流が復活。みんなで少しずつ創った大きな愛の軌跡…。そんなおとぎ話“現代版ももたろう”を夢想できることに感謝したい。「めでたし、めでたし」
広報誌「宅建NEWS」2016年月12月号 掲載
































